ロケットまつり「はやぶさは見た」

「舞い降りた」「飛翔した」に続く、「はやぶさ」関連第3弾。今回はゲスト:小安部正真(JAXA/ISAS)、中村良介(産業技術総合研究所)、平田成(会津大学)の三氏とホスト:松浦晋也浅利義遠の二氏で、サイエンス方面からの視点で惑星「イトカワ」について語っていただく、という趣向で。
以下メモを元にしてますんで、あまり信頼性には期待しないで下さいね。「そこはコウだった」等のツッコミ歓迎。



普段は設計、運用の苦労話なんぞから入っていく感じだったと思うんだけど、今回はチト勝手が違う感じで、ゲストの方々、松浦さん、浅利さんともども「ドッから始めましょうか」てな感じの滑り出し。
そこで、ゲストの自己紹介に続いて、イトカワに着いて初めに地名を決めたんです、ってトコら辺りから話が始まりました。

  • ラッコ説の発祥が今明らかに!
  • ラッコの顔がAAっぽいのは、単に現場にあったグラフィック・ツールの関係で、との事。
  • で、最後まで「右手の辺り」とか「お腹の」とかの呼び方で通ってたとか。
  • 地名は妖怪の名前なんかも候補にあったとか。自分も外国人の研究者が「a crater "nurari-hyon"」って言うのを聞いてみたかったなぁ(´ー`)

で、ここら辺りから、サイエンスな話に。

  • 小惑星の北は自転に対する「右ネジ」で決められるのな。よってイトカワの北は背中側で。
  • よって写真を見せる時は「死んで浮いてるラッコ」状態が学術的に正しい。
  • イトカワは、もっと大きな小惑星が壊れて再び集まったのか、長細い小惑星が「延髄切り」に合ったのか。
  • イトカワの比重がかなり軽い。イトカワ空洞仮説なんてのも(!)
  • やはりリアクションホイールが壊れて姿勢制御の精度が落ちてるのが、分光測定器による観測にもかなり影響しているみたいで。当初は二次元スキャンする予定でその機能も「はやぶさ」に盛り込んであったというのにはオドロキ。
  • 小惑星はナゼ小惑星なのか」
  • 「溶け」の入ってない、星の「生っぽい」状態、つまり小惑星を観測する事がいかに大事か。

などなど。
と、イトカワについての話ではあるのだけど、それが自転の進化とかイトカワはどこから来たのかとか、ひいては太陽系の仕組みとか、もっと大きなスケールのサイエンスに関わってくるのが、ゲスト陣の熱い語りによって良く分かった。
自分の感想としては「なんだ、小惑星って月とか火星なんかより全然オモロイやん!」と。


しかし、いつも通りかそれ以上に、理系センスが必要な回だったような。
でも、自分なんかは、この位「ディープ」でないと物足りない感じでして。いや、ほんとに面白かったです、ハイ。
あ、あと、質疑応答の質問も、いつもに増してハイレベルだったような気が。また、ホストや観客の質問にゲスト陣が「ソレはいい質問ですね」((英語で言うところの"That's good question")と付け加えるのも、何かアカデミックな感じが。




で、NHKの教育番組とかでも、こういうサイエンス関係の話は見れるんだけども、自分は、「こういう観測をして、こういうことが分りました」ってのは何か「フーン、そうなんだ」で終わってしまうし、論文やネット上の発表等を読んでも自分のような「ニセ理系」にはどの部分が画期的なのか、ってのは、継続してネタを追っている訳じゃないので、イマイチ分らないんですね。という訳で、やっぱり「フーン…(ry」で終わりがちだな、と。


でも、ロケットまつりで話を聞くと、その観測結果を見て研究者が「何を考え、どうやってその推論を導き出したのか」がわかる。また「謎はナゼに謎なのか」というのも。
で、そこがとても面白い。研究者の思考過程がみえて、成る程そうなのか、と思えるんだな。
また、今回のサイエンス方面もそうだし、工学方面でもそうなんだけど、限られた、テレメトリーデータや観測データで「そこまで分ってしまう」事が種明かしと同時に目の前で明らかにされる訳で、ソレも面白くないはずが無い。


言葉の使い方としては正しくは無いのかもしれないが、教育番組などで教えられる事は「インフォメーション」、ロケットまつりで知る事は「インテリジェンス」って感じがするんだなぁ。



次回は3/19らしい。
けど、それ月曜日だよね。ホントかな。