『トランスフォーマー』を

観てきた。
いつもの如くチケット屋でディスカウント・チケット買って観たんだけど、なんで他の作品に比べて値段高目なんだろ。あるいは劇場が制限されるとか。東宝だから?
逆に『エバ』は安かったなぁ。今週封切りなのに。アニメだから?そんな事あるのかなぁ。



閑話休題
コレはあれよ、アメリカの夏休みの中高生が友達仲間とかガールフレンドと見に行く、という「季節の定番」映画よ。冒頭の初めての車、フットボール・ガイ、憧れの彼女、ってネタの並びはそうだろう、と。アメリカでも今年の6月封切りだからね。そういう、日本にはあまり馴染みのない「作品の立ち位置」を意識しないと「不要なキャラが」とか「脚本が」とか言いたくなってしまうよなぁ、と。
前半がマイケルベイらしくない、ってのは、それらを「入れ込んで」作品作ってるからじゃないかな、と。
つ事で、まじめっぽく作ってるカットも含めてゲラゲラ笑いながら観るのが正しい見方なんじゃないかと思ったし、実際自分は所々思わず声出して笑ってしまったという、そんな感じで。
マイケル・ベイも結構楽しんで作ったりしてるんじゃないかなぁ、セルフパロディなセリフも結構多かったりするし。



以下思った事を箇条書き。

  • その前半のアメリカ人の高校生に関する「如何にも」な話とか、あまりにも手垢の付いたネタなんだけど、まぁ、それなりに楽しく纏めているなぁ、と思ったな。
  • 一応、主人公はメカ好きでもないんだけど、明らかにnurdな観客を意識したキャラ付けだよね、と。そこに、見た目はもう手の届きそうにない、しかもフットボールな彼氏のいる学校のアイドルが、実はメカに詳しかったりして主人公の変わり者な所に理解があったりとか「どう見たってヲタク/童貞少年なあなたの為に作られた映画です、どうもありが…(ry」と言いたくなりましたな。ラスト、主人公がキューブを抱えて延々走るってのは明らかにフットボールの引喩ですね。
  • で、そんなコミカルでちょっとエッチなシーンから、ブラックホークとかラプターを、ロングなレンズで、半逆光で、スローモーションで、な如何にも「マイケル・ベイ」なミリタリーなカットに変わると、その落差と、わざとらしさと、映像のコブシの廻り具合に、思わず噴出すこと請け合い。つか、これはっきりと「笑いどころ」として作られてる気がするんですが、自分は。
  • 音楽もオリジナルでない、そのシーンにぴったりな「如何にも」な他の作品のサントラをわざわざ引っ張ってきてたりしてたな。*1
  • で各所で連呼される「日本人SUGEEEE!」な台詞。タカラトミーの協力を蹴ったとされている*2割には、ちゃんと仁義を切っていて、よろしい。ウォシャウスキー兄弟に見習わせたい。(ヲ
  • トランスフォーマーな映画ですよね、コレ。なのに、なんで砂漠のシーンでそんなに「支援攻撃」の要請手順に時間掛けて、リアルっぽく描きますかね。「どうみたって軍ヲタなあなたn…(ry。」
  • で、A-10が駆け付けるんですが「ガイドレーザーが見えない!」とか言って銃撃に切り替えるんですね。それ単にGAU-8 Avengerぶっ放させたかっただけ違うんかと。まぁ、レーザー誘導弾落とすだけじゃA-10出す意味無いしなぁ。
  • ネタにマジレス。APFSDS弾を手持ちで、しかもその銃で撃ったら弾速足りんのと違うかと。


で、3DCGについて。

  • まぁ、鬼のような変形ですなぁ。モデラーさん、セットアッパーさんお疲れ様でした、と。日本アニメの変形みたく「段取り」踏む必要ないし、バンクで秒数稼ぐ必要も無いんだけど、もう2、3秒長く変形を鑑賞したかったなぁ。
  • 大域光の表現ってば、もう殆ど完成していますな。HDRばんざい。SW Ep1の頃はまだ屋外のドロイドとか「よし、まだ日本も何とかいける」とか思っていたんだけど、今はもう「完璧」ですなぁ。
  • でも、チトだけ気になったと言うか、「ILMでさえ、今ではまだ難しいのかな?」と思ったのは、水の表現と地面との接地が見えてるカット。水は「しぶき」としては文句の付けようの無い出来だと思うんですが、「流れ落ちる」感じの水は難しいのかな、と。接地「感」が気になったカットが1カット*3。や、気のせいかもしれないけども。
  • 煙、破片、水しぶき、もう、文句が付けようもありません。
  • しかし、ILMのアニメーターだけで日本のVFXプロダクション3つか4つ分の人数関わっているのな。全体では更に5、6倍いるんじゃないかなぁ。加えてエンドロールに名前が出ていないデザイナーがかなりいる筈で。層の厚さとかそんな簡単な表現じゃ間に合わない体制の違いですな。
  • あと、ライブ撮影との絡みも完璧。1カットだけ「あ。」と思ったくらい。*4
  • てか、今年に入って位からのハリウッドのVFX作品て、ライブ撮影が増えてるよね、と。というよりも、今までは怖くて避けていた*5であろう、ライブフッテージとの合わせをガンガンやって来ている感じがするんだけども。
  • アニメで言うところのモニターグラフィックが国防総省、家庭のPC問わず青系に統一されていたな。

や、ほんと面白かったですよ。
細かいとこ気にしたら負け、な映画ですね、ほんと。




つかね、マイケル・ベイって、こういう最後はハッピーでデレなラストな映画の方が良いんでないかな。「泣き」を入れようとすると、そのアメリカ万歳な姿勢が鼻に付くんだよなぁ。

*1:キル・ビル』の布袋寅泰「Battle Without Honor or Humanity」

*2:ウィキペディア情報なので、信憑性はそれなりって事でヨロ。

*3:バンブルビーが拘束されるカット

*4:デバステーターがビルに倒れこむカットの(多分)ライブの土煙の出方が単調だったな、と。

*5:ライブで全部やっちゃうか、オールCGIでやるかの2択だった