うーん。ん?

色々気にかけていると、画像解析系の記事とかニュースも目に付くようになって。
IDFでフォーカス範囲・位置を後からコントロールできるソフトウェア技術が披露
上の記事を見かけて、「お〜、凄い。RGB画像から光の方向を解析して、Z深度を計算すんのかー。」とか思ってたのな。画像解析も凄い速さで進化してるなぁ、と。だって、

「…「Wavelet Relighting」という技術を用い、ボケた写真から本来のディテールを作り出すという技術である。…(略)…Light Field Photographyと名付けられた技術は、写真データから光跡を追い、本来、そこにある被写体の姿を演算で求めるというもの。…」

って書いてあるから、今のデジカメが出力するRGB画像からZ深度が分るのかと思ったんだけどさ。





こちらの技術の開発元のサイトのサンプルを見て、「あ、これ、どっかで見たし、普通のRGB画像からZ深度を抽出している訳じゃないぞ」と。どこで見たっけ、と思い出したら、こちらでした、と。
3D写真が撮れるスタンフォードのカメラ専用チップの新デザイン | ギズモード・ジャパン
下のAdobeの殆ど同じ技術のデモムービーのなかに、上の開発元サイトと同じ画像が出てきますね。考え方としては、

  • 虫の複眼のような画像を撮れるレンズ(orセンサー)を使って、写真を撮る。
  • その複眼一つ一つの画について、隣合う2つからステレオ画像を作って視差(パララックス)を得る。
  • ステレオ画像(というか、パララックス)を複眼全体について「ぎょうさん」解析して、ピクセル毎にZ深度を得る。

って感じではないかと。沢山のパララックス情報を解析して、一枚の画像全体のZ深度を割り出す、ってのは技術がいると思いますが、基本部分はステレオ画像の原理を進展させた物で、その部分は昔から知られている技術をコロンブスの卵的に応用した、と言えるんではないかと。魔法的な技術と言うより、仕組みを説明されると「あ、なるほど!」と言える物ではないかと。


当然、カメラかレンズは「Light Field」カメラなり「Light Field」レンズなりでないと、このZ深度を得る事は出来ませんよ、と。直接得られる「素材」となる画像も「複眼で見たような画像」で、

ボケた写真

て訳じゃない、と。





Z深度を実写で得る、ってのであと自分が聞いたことがあるのが、「ZCam」で。こちらの方がも少し「新技術っぽい」んですね。
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/099/99402.html
開発元はこちら3dvSystems.com | Your daily source of tech information
最初に99年ぐらいのシーグラフ(NABかな?)に出展された時は、どうやって動画でZ深度得られるか謎だよねぇ、と3DCGの技術的側面に関心のある知り合いと話してたなぁ、と。
で、その仕組みは、

  • RGB画像を捉えるムービーカメラと同軸に、パルス状に赤外線を発射して「光の壁」を放射する。
  • パルス状に飛んでいった赤外線が被写体で跳ね返ると、一番手前の面で跳ね返った赤外線がカメラに一番早く帰ってくる。奥の面から跳ね返る赤外線は、遅れて戻ってくる。
  • その赤外線の返りの「時間差」を捉えると、カメラ軸方向の深度が捉えられる。

というもの。赤外線をパルス状に放射するデバイス、反射した赤外線を時間軸で捉えるデバイス、可視光と反射して帰ってきた赤外線を分けるビームスプリッターと、なかなかガジェット感がしますね。実物も、こちらにある様に、放送用カメラを乗っ取る様な感じのものでした。




だけど、その後トンとZcamの話聞かないなぁ、テレビの現場でも使ってるとか耳にしないなぁと思っていたら、どうもちょっと方向性を変えたみたいで、ウェブカメラ並の大きさに小型化(!)してたんですねぇ。
http://gizmodo.com/gadgets/zcam-depth-camera-could-be-wii-challenger/zcam-3d-camera-is-like-wii-without-wiimote-and-minority-report-without-gloves-334426.php
まぁ、製品の写真は開発元サイトのproductsのページにもあったんですけどね。




けど、使い道が問題ですよね、と。
静止画の方は、被写界深度を自在に弄れるのは分るけど、その為に専用のレンズなりセンサーなりを一般消費者は買うかなぁ、と。3DCGの合成素材を撮るって用途なら、これは非常に有用ですけどね。
Zcamも、合成用は分る、と。でもウェブカメラはどうなんだろ…。ギズモドの記事にもあるように「次世代」Wiiリモコンな使い方でしょうかねぇ…。