昨日のコメント欄で

「いーの」さんという方からツッコミ頂いたので、答えてみる。

う〜ん……スタッフのイベントでの発言とかを聞いたうえでの想像ですが、雪風がデザインされていた2000年頃と言えば、3DCGによるメカ描写の黎明期なわけで、プロペラの表現に二の足三の足といった状況だったのではないでしょうか。

いや、それは無いと思いますよ、2000年当時であったとしても。
コレは私が実際やってきた仕事上の経験から(自分は、2000年当時は所謂アニメ作品に参加はしては無かったですが、それでも)「全然大丈夫じゃないの?」としか思えない、って事なんですね。
スタッフの発言でプロペラの「この」表現が大変だった、とかなら判り易いというか、こちらも「自分ならコウするけど」とか言いやすいんですけどね。


漠然と「ペラの表現は3DCGでは厳しい」とかデザイナーが思って、結果、創造の自主規制するってのは詰まんない話だな、と思った訳で。

そのまま回すのは簡単でしょうが、それだとリアルな描写にはならないのは当然で(参照>王立宇宙軍の二重反転ペラの始動シーン)、じゃあどうする? となったときのノウハウ開発の手間が怖かったんではないかと思うのですが。

まず、「雪風」にペラ始動のカットがあったかな、と。自分の記憶では無かったような。件の機体は飛行中のみだったと思うんですね。


で、3DCGって、CMであろうと映画であろうとアニメであろうと、基本「必要な部分しか」作りません。カメラアングル*1と必要な表現に応じて「どこまで作るか」を睨みながら制作します。
よって、飛行中のペラの表現しか劇中に出てこないなら、それしか作らないですし、その表現なら「特別な」技術とかソフトとか、データ量が馬鹿でかくなるとかは無い筈だよな、と自分は経験上そう思ったんですね。


いや、単純に回転のモーション付ければ良いじゃん、って事ではないですよ。
回ってる場合は「あんな風なデータの作り方すればイケル筈なんだけどね」という事です、ハイ。で、実際の本編を見ても、自分が想像する手法で回転しているペラを作られてるんじゃないかと思うんですね。


また、ノウハウの開発に二の足を踏んだのでは、との事ですが、それは当時のGONZOの「CGをウリにする!」という明確な戦略や、当該作品がOVAであって週一ペースのTV作品でない事を考慮すると、ノウハウ開発を面倒臭がるような位置づけの作品ではないんじゃないの、と思うんですね。
つか、ペラの表現くらいで腰が引けるなら、5話の「JAMの大群」なんて、やろうとする気すら起こらなかったんじゃないかな、と。


だから、ペラがもともと実際にCGのワークフロー的に問題があった、のではなく、デザイナー側に「ペラって大変なんじゃないの」と言う思い込みがあって自主規制していたんだけども、問い合わせたところ、CG的には全然OKだったので、デザイナーの当初の意思通り哨戒機はプロップファンになったと言う事ではないかと。


追記:
ちなみに、ペラの件以外でも「あー、この部分は3DCGがどのように作られているのか、誤解されてるんじゃないのかなぁ」と思われる記述が2箇所ほど出てきます。

脚本の経緯は、あちこちで非難している声を見かけますが、(完成したアニメの出来とは別ですよ)もり監督の方にも言いたいことはあると思います。
(以下、筆者により割愛。)


えとですね、わたしはそこまで具体的に書いていないんじゃないかと…。(笑)
ていうか、自分は「メイヴちゃん」での出来事を指して書いたのではないのですが。


ちょっと補完され過ぎたかなぁ、と。


ならハッキリ書けよ、って事かもしれませんが、まぁ、好きな人なら「なをもつかぜのほん」買って「あー、これのことか」とか程度に楽しめるよ、とのつもりでレビューしたんですね。



ま、話が出たついでに自分の個人的な感想を書くと。



デザイナーが脚本部分での関わりでに「関わって」しかも「色々あった」っての自体が仕事というかプロジェクトの「姿」としてどうなんだろ、と。
誰がどうの、彼がこうの、ナニの出来がどうの、では無くてね。


企画がデザイナーから離れた所で発生してるなら、デザイナーはデザインだけしてるのが本来でしょう。
デザイナー発の企画なら脚本含めて手を出すのもアリでしょう。


でも、そこで色々あるって、プロジェクトの入り口からして相互に誤解が多かったんじゃないかと。


そこら辺の「仕事としての枠組み」が、自分から見たら凄い特殊だなぁ、と。
だもんで「大変だね」と自分は思ったんですね。自分の仕事の経験上、「入り口で少しでもオカシイ所のあるプロジェクトは、みなオカシイ」ってのがあるんもんで…。




まぁ、ナニ言っんのか良く判んない所もあると思いますが、そこら辺は「なをもつかぜのほん」買って見て頂ければ、と。


ま、こんなトコかと。

*1:アニメで言う所のレイアウト