フム。

2007-10-03 - 大和但馬屋日記
なるほどね、今回の富士F1の騒ぎの根本原因ですね。
応援旗やトイレやコースの見えない観客席やレース開始条件や食事関係が馬鹿高いとか、公のイベントなのに身内優先やら、問題大杉で批判の焦点がぼやける傾向ではありました。




で、FSW(≒トヨタ)の一番クリティカルな不手際は、zunさん御指摘のように「一般客の来場退場をどう捌くか」という、素人でも判る、FSWでイベントを行うに当たっての最重要課題に対する取り組みが、その組織の規模や社会的地位に比して、あまりにもお粗末だった、という事だな、と。
逆に言えば「一般客の入退場をうまく捌ければ」その他の不手際は、帰り際に「あんま気分の良くないF1だったねぇ」「トヨタだけ応援旗OKなんて、品が無いよねぇ」程度で済んでいたと思うんだな。




「一般客の来場退場をどう捌くか」という課題が克服するに困難かつ最重要なハードルであるという意識があれば、

  • バスの運行効率を最大限に上げるようなバス乗降場にするだろうし。
  • 延べ3000台にもなるバスの出入り口が東西のたった2箇所、なんて事は無いだろうし。
  • バス運行のプロを指揮官にした「中央指令所」くらい作ってもいいだろうし。
  • 現場係員の仕切りを丸投げにはしないだろうし。
  • どうしても捌ききれない場合は、その間、溢れたお客を、それこそ「おもてなし」するイベントや施設や情報伝達が必要だと思い至るだろうし。

と、まぁ、この1点から視線がずれてしまったから、あんなお粗末な事態になったんだろうな、と。




その上で、流体力学云々が必要ならそうしたら良いだろうし。
けど、まともな技術者なら、シミュレーションなんざ参考程度にしかならん、と思わないのかな、と元理系な自分は思ったりするんだけど。
まして、目の前で起こってる大惨事ってのは現実であって、計算結果云々なんて意味無いと思わないんだろうか。じゃあなにか、もう一回パラメーター入れなおして計算しなおして、また失敗したら「すんません、もう一年後、パラメータ入れなおしてやってみます…」とでも言うんだろうか。
さらに、この現実を前にして、「構内道路の整備も出来るかどうかワカンナイ」とまで言ってしまうとは…。
テレビとか、ネットのビジネス書の要約なんて見ると、トヨタ流の仕事の極意だかなんだかに「現場主義」ってのがあるんだけど、今回のFSW首脳の記者会見要旨ほど「現場主義」から遠い物は無いよね、と。




という訳で、FSW(=トヨタ)は、F1運営において問題解決すべき「一般客にスムースに来場退場してもらう」というターゲットから視線が完全に外れていた、と。そして今も外れていそう、という。
も一つ言うと、その外れた視線はどこ向いていたんだろうか。
身内だろうか?プレスやVIPだろうか?レクサス・オーナーだろうか。あるいは、あてどなく宙を彷徨っていたのだろうか。




さすがに現場で人が死んだりしていないから、F1ファンの間でしか話題になっていないけど、このオペレーションの失敗具合というか、課題に対する視線の外れ具合というか、ダメさ加減は、世に数多ある死傷者数百人レベルの大事故と、そう違いは無いんでないかと思うな。