なんか

3年ほど前に、『ローレライ』のCGIについて書いた文章こちらからリンクが張られてたんで、チョッと書いておこう、と。当時、もう1、2つ書けるネタあるな、と思っていたし。
しかし、リンクされた記事を読み返してみると、結構攻撃的な語り口だね、σ(゚∀゚ オレ。
まぁ、なんつーか、当時はまだ色々熱かったのかなぁ…(´-ω-`)トオイメ、と。



けど、基本的な当該作品のCGIの使われ方に対する見方、ってのは今でも変わってなくて。繰り返しになるけども、アニマティクスの段階で試行錯誤が多かったようなので、実写フッテージ、マットペイント、CGIコントラストとかガンマとか露出をビタッと「リアリティがある」っていうレベルまで合わせられなかったんだろうなぁ、と。



ソレが端的に表れてるのが、浮上航行中の司令塔での艦長と副長の遣り取りなんかのシーンかな。背景のCGIと、役者のハイライトの出方と帽子の庇下とかの陰の部分の明るさのバランスが、なーんか*1おかしく感じるよね、と。外洋のピーカンの屋外なら人物はもっとコントラスト高いと思うし、ハイライト部はフレアが出るだろうし、CGIももうチト違うバランスになるだろうし。
それらを最終的に調整するのは、最後のコンポジットの工程なんだけど、まぁ、そこも色々大変だったんだろう、と。



で、そういう問題点を制作陣も認識していたんでしょう、次の「日本沈没」ではフィルムの現像直後から全フッテージをスキャンして、素材レベルからCGI有り無し係わらず露出レベルを揃えるという「D.I」を施す、CGI製作現場の全モニタのガンマを合わす、と言う、現場レベルからするとなんとも羨ましい体制を整えたんだな、と。そこら辺、詳しくはここで。
自分がやった仕事でも、何回も五反田の某社がフィルムに焼く事はあったんですが、「D.I」はまだしも、その某社の中の人が分光計持って現場の全モニタの色合わせするなんて事は一度も無かったもんね。多分そういうのは、最初っから予算的に決まってる、とか、偉い人同士がツーカーとかでないと「D.Iってのあるんだけど、どう?使う?」ってな風にはならんのだろうな、と勝手に推測。



てな感じで、当該作品で「なんかCGがショボ」って思ったなら、そういう事情がある筈なんよ、と。因みに、昔に聞いた話ではアメリカのプロダクションとかだと、月一で「モニタ合わせの専門家」が廻って来るって話し聞いた事あるな*2。まぁ、そういう細かい所でも、彼の地とは大きな差があるんですな。




そういう事情があるンですよ、てな話で、ココまでは前回書いたのと殆ど違いの無い話ではあるんですが。




ココからは、でも素人さんに、やたらショボイだチャチだ何だと言われたら、「や、そうでもないんだよ、よくやってる方よ、環境を考えると」と言いたくなるよなぁ、て感じで書いてみよう、と。
冒頭の潜水艦が撃破されるカットとか、良く出来てると思うよ、自分は。
あと、素人さんには99.9%、CGIだとバレて無いハズのカットもあるんだな、ローレライには。プロでも教えてもらえないと絶対わかんないだろ、てな感じの。



機関室のカットがそうなんだな。機関室のセットって、メイキングのセミナーによると前半分しか作られてなかったらしい。で、船尾に向かって機関長(だったと思う)をバストアップで捉えるカットの背景(セットが作られてなかった機関室の背景)は全部CGIだという事だった。
あのカットは、まぁ、CGIとはワカンナイよね、普通、と。
ていうのも、VFXにうってつけというか、CGIがバッチリはまる、そういうカットだからなんだよね、と。



そこら辺、ナゼにそう言えるか、は明日にでも。

*1:や、「なーんか」なんて言い方でなくイチイチ指摘できるけど、めんど臭いんで取敢えずこんな感じで

*2:DVI+液晶モニタな今はどうなってんのか知らない。