「カムイ ロケットまつり」に

行ってきた。ゲストは永田晴紀 北大教授。
うん、面白かったな、学界の人の話を聞く、というよりは、物づくりの人の話を聞いたような感じだったな、と。
いつもの如く、楽屋落ち的な話が出てくるので、さわりだけ書いておこう。

  • 冒頭でも笹本氏にネタにされてた事だけど、自分は開場前の列に並んでいるときに「いま横をアニメの庵野監督が通り過ぎていったなぁ」と思っていたのな。ジオフロントのイベントでも見かけたし、こういうの好きなんだなぁ、でも少し痩せたか?とか思っていたら、その人が実は永田教授だった、と。
  • 前半は、ハイブリッドロケットとはどういうものか、という解説と、今ここまで開発進んでいます、というハードウェアに関する大まかな話し、を。後半は永田教授がハイブリッドロケットに係わる経緯と、なぜに北海道でロケット開発なのかという歴史的経緯、そして助成金や規制とかで関係してくる「お役人」の摩訶不思議な世界と、カムイロケットの製造と実験(?)をされてる植松電気の植松専務との出会いなどのカムイロケットを取り巻く人々の話でした。
  • まず驚いたのが、カムイロケットの構造のシンプルさ。もうね、これは「美しい」と言っても良いくらいの物だなぁ、と。
  • バルブ類はコストやトラブルの多い少ないを直撃するのでテコでも入れない、火薬も使わない、(結果としてだけど)高圧ガス取り扱いの資格も認定も必要ない、そんなシンプルでクレバーな設計になってるのが、ほんとに凄いなぁ、と。
  • だけど比推力は(第一段エンジンとしては?)かなり優秀で高効率な出力を得られる、と。
  • (CV:田口トモロヲで)
    「異常燃焼に悩まされる日々。

    ある日の実験で液体酸素が微量漏れているのを見つけた永田は、遊び半分にその漏れ出した液体酸素を手にとってみた。

    知識としてライデンフロスト効果により火傷などしない事はわかっていた。

    そのとき、「あっ」と閃いた。

    点火前、液体酸素温度まで冷やされる燃料のポリエチレン。

    点火後に温度が上がり、液体酸素とポリエチレンの温度差がライデンフロスト温度を越えた瞬間に、
    何 か が 起 こ る。(ここでSE)

    永田は早速カムイロケットの設計変更に取り掛かった…。」

    なんてNHKのディレクターが思わず食いつきそうなエピソードもあったらしい。
  • あと、やっぱり、北海道に植松電気があった、ってのが大きいんだろうなぁ。永田教授が目指すハイブリッドロケットの技術面での方向性と、植松電気さんの工場の規模、そして植松専務が航空宇宙に強い関心があったってのがピッタリ重なって、カムイロケットが生まれたんだなぁ、と。
    コレが所謂「幸運な出会い」ってヤツなんでしょうなぁ。

ま、こんなとこかと。
あと、自分の感想としては、永田教授が非常にプラクティカルな視点で自分の開発や研究を方向付けて、戦略性をもってコトを進めている感じがしたんだけど、そこら辺が実に素晴らしいな、と。「戦う相手を想定して」って言葉が何度か出てきたんだけど、まことに正しい姿勢だと思う。*1
だからと言って、クールにお仕事してますって訳じゃなく、永田教授や学生さん達、そして植松氏にも「熱い血」ってのが流れているよなぁ、と。



つぎ永田教授が出る機会があれば、植松氏も一緒に出られるかも知れない、との事。
楽しみだな。


P.S.
こちらで永田教授、植松専務によるCAMUIロケット開発日記が読める。
http://myhome.cururu.jp/camuispaceworks/blog
つか、1日の訪問者数が200台って少なすぎるでしょ!もっと多くの人に見てほしいなぁ。
あるいは、ロケットとかに関心の有る層って、みんなRSSで読んでるとか?

*1:逆に言えば、戦う相手を想定すらしていない、っていう「アホな物事」が如何にこの世に多いか、という。