ここんとこ、

自分の観測範囲では労働問題採り上げる人多くて。
んで、観測先がリンクしている記事とか見ると、非正規とか派遣村とかDisる人、多い感じだなぁ。
あと、雇用規制なんかイラネ、規制外したら雇用が増えてウマーになるだろ、みたいなとか。


そういう所謂「新自由主義」な立場をとる人らの議論が、軒並み権力構造ってーか「カの関係」ってーか、雇用者vs被雇用者の間の「カの非対称性」をスッ飛ばすと言うか、無視すると言うか、意識にすら上っていないみたいなのはナゼなんだろうねぇ、と。



まぁ、自分みたいにフリーランスで仕事するってのは、ある面、所謂「非正規雇用」と変わらん訳なんだが。
で、俺の知る限りの労働現場における「カの関係」のリアリティってのは、「カの強い立場いる者は、常に自分の立場を強化する方向で行動する。」ってヤツで。
強い立場にいる者(仕事/金を出す側)が、わざわざ弱い側の事情をアレコレ斟酌して労働条件を、手厚くしてくれたりするなんて事ぁ、まぁ、まず無いやね、と。



つ訳で、出す方は、労働の対価なんざ0に近ければ近いほど利益が出てウハウハ出来る、「生産性」ってヤツの分母が少さくなればなる程ウマーってなもんだから、使用人はコキ使って(場合によっては過労死させても)も使い拾ていいッスよ、なんて「くうき」になりゃ*1、そら首切りだろうがナンだろうがするわな、と。
「自由に労働形態を選べるのはイイ事だ」なんつー言説における「自由」は、雇う側にとってだけであって、労働側が選択できる自由なんざ現実の世界では殆ど無い*2訳で。



で、そういう力の非対称性があからさまに出てきてるのが、昨年末からの雇用不安でしょ、と。何兆って言う金を社内に積んでる一方で、大した年収も払ってない労働者をバンバン首切ってるんだからな。
だからさ、雇用規制外したら、手軽に雇えるから雇用が増えるんではなくて、手軽に首切れるから失業者増えるんでないかな。いつでも首切れるからって、1.5人月の仕事に2人の従業員充てるお人好しは、まぁ、いないわな。それどころか、解雇で脅して1.5人月か2人月を1人に背負わせるのが現実ってヤツでしょ。


だからさ、もう事態は個人の気合だとか能力だとかの話じゃないやね、「しくみ」の問題だろ、と。
で、その「しくみ」みも人類共通といって良い「力関係の原則」に逆らった「雇用規制の撤廃」なんかではなくて*3、制度の強化か、もしくは力関係をバランスさせるような制度の変化が必要なんじゃないの、と。

*1:つか、もうなってるよね。

*2:「やる/やらない」位はあるけどさ。つまり雇用側の条件を呑むか呑まないかの選択を、果たして自由と言っていいんかい?と。

*3:や、まぁ「北斗の拳」みたいな世界が素晴らしい!ってんなら別だけどさ