んがっ、しかし…

以上のようなシロートの浅はかな考えなど、私の人生ぐらいの時間、プロの演出家として生きてきた人には児戯に等しい筈であります。で、そこで更にシロートの勘繰りを進めてみます。

 その勘繰りとはどんな物かというと、意図的に分かりやすさを妨げている部分を作り出しているとすると、その部分で、監督は「俺のテーマ」を語ってるという事じゃないのだろうか、と。(そのテーマは何か、はここで書きません、ただ、スウプが感じたのは「えらい若々しいテーマ」で、びっくりしたんですが)


 でも、何もそんなアクロバティックな事をしなくても、

  • 「原作にはない、より監督のテーマに沿ったストーリをスクラッチで創る」とか、
  • 「テーマを分かり易くストーリーの中に埋め込んでしまう」

ことはできなんだのかなぁ、と。
なんか、ストーリーとテーマが(半ば意図的に)分離しているように思うデス。(これまた余談になりますが、素子とバトーの絡みなんか、「パト2」並の「大人のエロ」と人形/人間のテーマを掘り下げる事が出来た様に思われるのですが…)


 まぁ、以上から「一般人」には面白くない作品であることは確かだと思われます。で、「そうでない人」にとってはどうかというと、こんだけ時間とお金をかけて、誰にも頼まれないのに日記に批評めいた事を書く人間がここにいる訳で、そういう意味では面白い作品なのだろう、と。つーか、「押井守作品」として面白い訳で、「イノセンス」として面白い訳ではない、と。(常連だけで保ってる焼き鳥屋みたいな物とは言いすぎでしょうか)



 ただ、やはり期待は大きかったし、僕みたいなヘタレ・デジタル・くりえいたぁ(オペレータとも言う)を欝にするくらいの、見事なバランスのストーリー、構成を見てみたかったのです。そういう訳で、「期待値より低かった」と。


以上、作品としての「イノセンス」ついて。「CGとしてのイノセンス」はまた後日。