その1本の線に勝てるか


http://d.hatena.ne.jp/usui_soup/20040522#p3のつづき、かな?
_______________________________________________________


イノセンス」でも考えたことなのだけど。
で、昨日のCSの「エヴァ」を見ていて、メカの線の書き込みが、密度、粗密のバランス、ウェザリングが素晴しい、と。最近のアニメ作品で、この「エヴァ」を越える事が出来ている物って無いと思うのですが、いかがでしょ。


で、CGは、そういう、手描きの線のわざ、を越える事出来ているのか。


越える事出来てい無いと思う。というか、CGのToonシェーディングって全然、手書きの線並みの、魅力を獲得できていない、と思う訳で。


手書きの線って、当たり前なんだけど、そのレイアウトにちょうど良い線の細さで描かれる訳で。ディテールの密度も、レイアウト上の大きさによって、描き手により調整される訳で。


で、CGのいわゆるToonシェーディングの線*1って、それが、出来ないんですよね。美しくなるように、線をかすれさせたり、ディテールの密度を調整させたり、大きさによって線の太さ強さを調整する、ってのが。


だから、アップに耐えるように細かくディテールを造り込むと、ロングでは、線が省略させる事無く、設定されてる線はレンダリングで出てきてしまうので、結果、線が密集してしまって、黒く塗りつぶされる事になり、美しくない、と。また、タッチも、再現は出来る、とされているし、機能もあるんだけど、「カッコいい様に」調整される訳ではないので、手書きにはほとんど敵わないんではないか、と。
だから、現状では、手書きの線の代用物として使うのではなく、異なる、新しい塗り、として使った方が勝算はあるのではないかと。シェーディングなら、エイリアシングによって、造り込みをしてやっても、汚くなる事もないし。


で、イノセンスでは何を考えたか、と言うと、カットによっては、そのシェーディングが、線描きに全然勝ててないじゃないか、と。指摘させた頂いて申し訳ないけど、特にラスト近くの「緊急端末」のカット周りで。特にバトーが接続する、床から飛び出てくる端子なんか。線描きで描かれた場合と同等、又はそれ以上になる為には、もっと過剰にディテールを作り込んでやる必要があったのではないかと。ようは、しょぼい、スカスカのCGに見えた、って事。線で表現される立体を、そのままモデリングしても、線画以上の密度感は持たせられないのではないか、と思うんですね。

[つづく]

*1:ラインとかインクとか言われてるやつ