テレビ見ていたら

なにやら、こんところ高校の文化祭で、劇上演に著作権管理団体が同一性保持権をタテに、著作権料を払うか上演をあきらめるかを突きつけて、一件につき10数万〜100万だかの著作権料を要求している、とかのニュースをやってたんだけど。



いや、これって権利の濫用じゃないかね、と思うんだが、俺は。



番組によると、著作権法では教育目的、無報酬等の条件を満たせば著作権を適用する事は出来ないそうなんだが。
そこで著作権団体様は、オリジナルが2時間とかある脚本を、文化祭での演劇なんかじゃそんな長いこと劇ができる訳ではないので、40分とかにダイジェストにしてる事に対して「同一性保持」に違反していると、自分なんかからしたら殆どイチャモンとしか思えない理由で各高校に(自分からしたら)「脅しを入れて」、結果、都内の高校では演劇の出し物が減ったり、著作権の期限切れの古典に変更したり、という事らしい。
で、その団体様のエライ人の爺さんがインタビューに答えて「高校生の劇といえどもルールを守ってもらわなければ困る」みたいな意味の事をノタモウテたのだけど。



つか、文化祭の劇なんて金銭のやり取りが発生していない訳で、そこに著作権をタテに演劇を中止させるってのは、どういうメリットが団体様にあるんだろうか?
クラスの劇に10万どころか数万だって著作権の為に金出す事なんて出来る訳ないんで、結果としては、その演目を中止する、ってオチにしかならんわな。団体様の要求はおかしい、と思っても、裁判するにも金が掛かる訳で、出るとこ出て白黒はっきりさせるっていう選択肢も取りようが無いよな、と。
結果、アマチュアが教育だとか内輪の楽しみだとかで、音楽を演奏したり演劇したりって場が無くなる「だけ」になってる、と。
つまりは、んな事しても団体の「稼ぎ」が増える訳でなく、それどころか「文化祭の劇で観て面白かったから、プロの劇団の興行(著作権料が稼げる)を見てみよう」という潜在的な客を自ら失う事にしかなってないんじゃね、と。



てかさ、法律の適用なんて、原告側に受忍の限度を超える被害が生じて粉争が発生したときの、紛争解決の手段でしかない筈だと自分は認識しているんだが、どうなんだろ。
紛争が起こったとき、最低限のルールを決めておいて、当事者間で解決不能な場合は司法の判断を仰いで、スムースに、要らん被害が広まらない様に解決ましょうよ、と。そんな感じではないかと思うんだが。
でないと、うっかり公園でキャッチボールも出来ない状態になるわな。横を通りかかった人に、ボールが当たった訳でもないのに「傷害未遂」で訴えられたりな。
だから原告に受忍の限度を超える被害が発生して初めて、法律の出番になるん違うのかな、と。で、この場合、団体様には被害って発生してんの?と。「著作権料ウン十万が…」ていうかも知んないけど、じゃあ、その値段付けって妥当なの?無報酬の表現活動を制限するってのは妥当なの?って話になりそうなんだけど。



話し戻すと、上記のように著作権の権利の濫用って、結果としてはアマチュアの表現活動の禁止って事にしかなんない訳で、長い目で見ると文化の破壊活動でしかないわな。
著作権によって飯の食い扶持を担保しているプロだって、プロになる前はみんなアマチュアであって。で、アマチュアが絵を描き始めたり音楽を演奏し始めたり演劇し始めたりの時って、好きな作品のコピーから始める訳で。そういうアマチュアの活動が文化ってヤツを育んでるんだろ、と。あとジャズ喫茶とか歌声酒場とか文化祭の演劇とか。
そんな、お金の発生しない*1、クラスだ学年だ位の人数の人間が楽しむ事を制限する権利は誰にも無いん違うかと思うけど。



「それがルールだから」ってもんじゃないだろ、と。ルールってのは社会的悪や個人の被害を広げない為に存在する筈で、この場合はどっかの団体がルールをタテに社会的悪を広めてるだけだろ、と。
そんな風に自分は思うんだけど。

*1:自分はお金のやり取りが発生しても年間数十万のレベルじゃ著作権を云々する必要はないと思うけど