士郎正宗氏の、

新刊を買う。「PIECES Gem 01 攻殻機動隊+α」
自分は、氏の近年の「イラスト仕事」な本は買っていなかったので、実に久しぶり。
版型の小ささ、ページ数の少なさ、一見、過去のイラストのまとめ本みたいな体裁に、買うのを躊躇っていたのだが、某ツイートで

士郎正宗センセイは、yahooニュースで顔出しでインタビューに答えて攻殻機動隊の現在についてもの申す!とかやらない代わりに、金出してまで読みに来る物好きにしか見えないところ(単行本)にちゃんと限定して愚痴を言ってるのでえらいと思います

と見掛けたので、氏の「愚痴」が読めるなら買わなきゃなるまい。それ以前にお布施もせんとな、と思ったので購入した。


で、飛び込み仕事のシミュレーション計算待ちに読んでみたんだが。
…うむ、これは良い。(´ー`)


自分でもアレな表現だとは思うが、シロマサ節の文章に「自分の青春時代が戻ってきた」というか、そうコレだよコレ、的な満足感が。
アップルシード攻殻辺りの創作の経緯やら、氏の近年の制作事情やら、自分が3DCG屋なんて職業をしている原因の数割は氏の作品の影響であるのは間違いないので、そういう人間にしてみれば、実に興味深い話ばかりで。
というか、氏の作品で付き物の「欄外に細かい字でビッシリの薀蓄文」やイラストの解説文以外で、こんなに長い氏の文章を読むのは初めてだな。(著作を漏れなく購入&読破する様なファンではないから)
まだ1/3程しか読んでないけど、これからボチボチ漫画の制作も進めるかも知れない風(ちゃんと知りたい人は本書の原文を読んで下さい)にも読み取ったのだけど、無理の無い範囲でゼヒ。


チョビッとだけ印象に残った事を書いておくと、氏がディックの「ニューロマンサー」を読んだのは「攻殻」2話制作中だったとの事。
自分は、あの時代のモノ作る人等は、あそこら辺の小説やら漫画やら映画やらに「相互に刺激し合って」、俺らが感化されたような80、90年代の作品を輩出していた、と考えていたので、これは意外だったな。



しかし思ったのが、どうやら震災やらご家族の介護やらの影響もあり、近年思うように創作活動をするのが難しい状態だった様なのだが。(此方も、ちゃんと知りたい人は本書の原文を読んで下さい)
これって、我が国の「大した事ない福祉」の影響で、世界レベルで影響を与える創作者の活動を制限してしまっているんじゃないかと。



俺から見ると、コレに限らず、近年の政府は、本来国や自治体レベルで組織立って解決すべき福祉*1の問題を、個人レベルにツケ回している様に見えるんだよね。まぁ、俺みたいな零細自営業者ならそれでいいが、士郎正宗氏みたいな創作者やら、深夜のドキュメンタリーなんぞ見るに社会的にも影響力のある働き盛りの人間が、福祉の仕事をおっ被されて「無理ゲー」させられてる感が強いのよな。
なんか、役人の数字の辻褄合わせで国家や自治体の仕事が個人に押し付けられた挙句、社会の成長を阻害していて、結果、我が国全体の成長力を削いでいるんじゃないか。
要らんとこケチって余計貧乏になってんじゃね?と。

*1:介護だけじゃないよ?